転職を考え始めると、「転職にベストなタイミングはいつだろう?」「自分の年令は転職に適したタイミングなのか」「女性の転職のタイミングはいつなんだろう?」など、疑問を持たれる方が多いのではないでしょうか。この記事では、転職に適したタイミングを様々な視点から解説します。正しい知識を身につけていないと、転職が失敗に終わり、後悔することになりかねませんので、詳細をみていきましょう。
理想の転職のタイミングとは
理想の転職のタイミングとは、今の仕事を思い切りやりきって、誰よりも結果を出したタイミングです。
そのタイミングで、様々な企業から求められる能力を兼ね備えた自分になれていれば、これ以上理想のタイミングはありません。
「今の仕事が嫌」「人間関係がきつい」「仕事が面白くない」「給料が低い」、、、、
転職を考えるタイミングを挙げればキリがないですが、あくまでも理想のタイミングは、仕事をやりきって結果を出し、他社から求められるタイミングです。
一般的に転職のタイミングはいつが良い?
とはいえ、あくまでも理想ですので、一般的に良いとされている転職のタイミングをみていきましょう。
転職のタイミングを決める要素
まず、転職のタイミングを決める要素を考えていきましょう。「逃げの転職」は転職市場から嫌われるばかりではなく、自身のキャリアにとってもマイナスです。正しい考え方を解説します。
キャリアと年齢のバランス
1つ目は、キャリアと年齢のバランスです。「なりたい自分」に対して、今の年齢でこの仕事をしているべきなのかという視点が重要です。
転職市場においては、年齢とスキルのバランスは非常に重要です。自分の年齢に対して、適切な能力が身についているか、今後今の会社に所属して適切なキャリアが築けるのかで判断します。
大切なことは、逃げるのではなく、「今の会社で成果は出しているものの、このままだとキャリアの強みがなくなるから」転職を考えるということです。
勤続年数
2つ目のポイントは、勤続年数です。一般的に、転職のタイミングは、入社して3年目と言われています。3年を目安に、1つの仕事に関して脂が乗った状態になれると言われるためです。ただし、私はこの数字には根拠はないと考えていますので、3年同じことをする必要はないと思いますが、成果を出してスキルがついたと言えないのであれば、3年以上でも必死に取り組むべきです。
逆に、新卒1年目は、転職のタイミングとしてはいまいちです。1年以内などのあまりにも短い期間では、本質的なスキルが身についていない可能性が高いため、簡単に転職するのはおすすめしません。
希望給与と現年収のバランス
3つ目は、希望年収と現年収のバランスです。目標としている年収に届いていないかつ、今の仕事で成果を出しているにもかかわらず伸びしろがない場合には、転職を考える必要があります。
給料は、基本的には仕事の成果に対する報酬なので、成果を出さずに給料が低いと文句を言ってもだめです。
よって、成果を出しているけれども、これ以上伸びしろがなく、環境を変えて活躍することで更に年収を上げられる場合は、転職を考えるタイミングです。
運とご縁
最後に、運とご縁も転職のタイミングとして重要な要素です。
そんなことかと思うかと思いますが、優秀な人ほど、成果を出しながら転職を考えていないふとしたタイミングでご縁があり、会社を変えるという話はよくあるものです。
「たまたま企業の役員と会った」「たまたま別業界の人事と会った」など、別の環境に触れ合う運やご縁は大切にしていきましょう。
年齢別転職のタイミング
ここからは、年齢別に転職に適したタイミングを、「企業が何を見て判断しているか」という視点でご紹介します。上述のように、年齢とキャリアのバランスは非常に重要です。自身の状況に応じて、適切なタイミングを考えていきましょう。
〜25歳までの転職
25歳までの転職は、
- 素直さと熱量
- 粘り強さ
- 何かしらのやり切った経験
を主に見られています。よって、早期離職は大きなマイナスポイントです。
継続的に何かしらの成果を出している素直な人であれば、転職成功可能性は高くなります。何かやりきった経験ができたタイミングで、転職をするのがおすすめです。
26歳〜29歳
20代後半の転職は、
- 課題設定及び課題解決の経験
- 自身が主導で成果を出した経験
を主に見られています。ただ熱意があって人柄が良いだけではなく、ビジネススキルを求められます。
特に、課題設定の力、仕事を見立てていく力が重要です。ただなんとなく言われたことをこなしていたのではなく、自らの意志で課題を設定し、その課題を解決してきたタイミングで転職活動をしている人が、転職を成功させていきます。
30〜35歳
30代前半の転職は、
- マネジメント経験
- 高い専門性
を主に見られています。ある程度の結果を出していて、専門性があるものは当たり前。いかにマネジメントにおいて結果を出し、より深い専門性があるかを求められます。
業界・業種において専門性を磨き、マネジメント力がついてきたタイミングで転職することがおすすめです。
36歳〜40代
30代後半から40代の転職は、
- 課長〜部長レベルのマネジメント経験
- 事業をつくってきた経験
など、高いレベルでの仕事を求められます。採用する側としては、経験に見合った高い年収を提示する覚悟があるため、どうしても目線は厳しくなります。
30代後半から40代の転職のタイミングは、今の会社で事業部長レベルの経験ができた時がおすすめです。今の会社でマネジメント経験を詰めない場合は、なるべく早く転職して活躍の場を広げることも重要です。
転職目的別転職のタイミング
ここからは、転職の目的別にみるタイミングを説明します。年齢だけではなく、何故転職するのかという目的によってもタイミングが異なります。詳細をみていきましょう。
同業界・同職種にキャリアアップしたい場合
同業界や同職種に転職する場合は、今の会社でやりきった・成果を出したということが最重要です。
キャリアチェンジをするわけではないので、成果を出していないと「転職する理由」が弱くなります。採用する側は、同業界・同職種で転職してくる人に対して、どれだけ成果を出しているのかを深く追求します。
やりきる前に転職するのではなく、「やりきったけど更に成長したいから転職する」というタイミングで転職しましょう。
異業種にキャリアチェンジしたい場合
異業種にキャリアチェンジする場合は、
- なるべく20代の早いうちに転職する
- 仕事における課題設定から解決のレベルを上げて転職する
これら2つどちらかのタイミングで転職することが重要です。
上述のように、20代後半から30代の転職では、高い専門性を求められます。逆を言うと、未経験の転職は難しくなります。いい業界へ転職する場合は、20代のなるべく早いタイミングで転職することがお勧めです。
20代後半になっても、仕事における課題設定から課題解決のレベルが高い人は、汎用性があるスキルとして未経験でも認められるケースがあります。どんな仕事でも、課題を設定してそれを解決するという本質は変わらないため、適切な課題設定をする力があるビジネスパーソンは未経験でも評価されます。
結婚・出産等のライフイベントに合わせた転職の場合
女性の転職のタイミングで多いのは、結婚出産等のライフイベントのタイミングです。今の会社で、結婚・出産を経て働くイメージができなければ(環境が整っていない)、転職を考えるタイミングでしょう。
長く働きたいと考えるのは当然のことです。産休・育休制度整っていないなど、女性が働きやすい環境でない場合は、女性活躍を推進している企業に転職するタイミングです。
ボーナスが出てからは本当?
ボーナスが出たタイミングで転職を考えるというのも、よくあるケースです。
転職には、引っ越しを伴うなどなにかとお金がかかる場合がありますので、ボーナスをもらえるのであればもらってから転職をするのも良いでしょう。しかしながら、重要なのはあくまでも自身のキャリアをどうするかです。ボーナスだけを意識して、本来すべきではないタイミングで転職をすることがないようにしましょう。
わずかではあるものの、ボーナス後は転職をしようと考える人が増えたり、離職者が増えて求人が増えたり一長一短です。
適切な時期はある?
年間を通して見たときに、転職に適切な時期、何月に転職すると良い等と言われることがありますが、筆者の経験からすると、さほど求人数や採用状況に変化はありません。
ただし、以下の時期では求人数が増えやすい時期です。
- 次年度の事業計画を定め、それに伴う採用計画を定め始めた2月から3月
- 下期の事業計画を定め、それに伴う採用計画を定め始めた8月から9月
この時期は、比較的求人数が増えやすく普段はない求人が出てくる可能性があります。
ボーナスの考え方と同様に、あくまでも自身のキャリアを中心に転職のタイミングを考えることが重要ですが、ひとつの参考にしてみても良いでしょう。
転職におすすめの時期とは。中途採用されやすい時期の考え方と適切な転職の準備を徹底解説。
退職交渉にかかる時間と適切なタイミング
転職のタイミングを考える重要な要素として、実は、退職交渉にかかる時間を考えることが重要です。転職が初めての人は特に、退職交渉の重要性を理解していない人が多いので、正しい知識をつけていきましょう。
退職交渉は内定が出てから
まず、非常に重要なのが、退職交渉が内定が出てから始めることです
転職活動をしている人に多いのが、まず退職を告げてから転職活動をするパターンです。100%悪いとは言いませんが、おすすめできません。
転職しようと考えて、書類を作成し、面接を受けて内定が出るまでスムーズにいっても1ヶ月です。当然、面接が上手くいかなかったり、面接の日程がスムーズに組めずうしろだおしになる可能性もあります。
そんな状況で、退職のタイミングが迫り、ましてや離職期間に入ってしまうと、どうしても焦りが出てきて冷静な判断ができなくなります。その結果、本来行くべきではない企業にある意味妥協をして入社することにもなりえません。退職交渉は、内定が出てからするのが鉄則です。
退職までは原則1ヶ月以上かかる
次に、退職の申し出をすればすぐにやめられると思っている人もいますが、退職の申し出をしてから退職日まで原則1カ月以上かかります。企業によっては、60日であったり、長いと90日前に通知することが就業規則に書かれている場合があります。
すぐに辞められると思って転職活動をしていると、想像以上に転職完了まで長引いてしまうことになります。退職交渉にかかる時間と、内定までにかかる時間を逆算して転職活動を進めましょう。
退職から転職までの流れ
退職から転職までの流れについては、転職先や現職、もしくは転職エージェントの指示に従って、適切な手順を踏みましょう。
勝手に自分で判断せず、指示されたとおりに書類を準備すれば問題ありません。
健康保険証や社員証、名刺などを会社に返却し、雇用保険被保険者票や年金手帳、源泉徴収票などを会社から受け取ります。受け取った書類を転職先に提出するだけなので、特別難しい手続きは不要ですし、全て指示されますので、漏れなく対応してください。
自身にとって適切なタイミングで転職しましょう
転職に適切なタイミングについて解説してきました。キャリアと年齢のバランス、勤続年数、希望給与等総合的に判断することが重要ですが、なりたい自分を定めることが何より重要です。目標に対して、今の会社でやりきって成果を出せているのかも冷静に振り返りましょう。
また、年齢によって適切な転職のタイミングは異なります。自身の状況に応じて、転職に適切なタイミングなのかを検討してみましょう。どの世代にも共通して言えるのが、ビジネスパーソンとして結果を出していないと、満足な転職は難しいです。現状から目を背けて逃げるのではなく、まずは目の前の仕事をやりきりましょう。