転職面接において聞かれることが多い志望動機ですが、正しく伝えられているでしょうか。
志望動機の伝え方、考え方を間違えると、せっかく能力がある方でもお見送りになってしまうくらい、志望動機は重要です。
この記事では、志望動機の正しい考え方と伝え方のポイントを解説します。きちんと準備して面接に臨み、より良い結果を得られるようにしていきましょう。
転職面接で志望動機はなぜ聞かれる?
転職面接で聞かれることが多い志望動機ですが、そもそも何を確認されているのでしょうか。
聞かれる理由が分かれば、どのように回答をするのがベストなのか準備できます。
ここでは、聞かれている理由と答え方のポイントを見ていきましょう。
志望動機で確認されている3つのこと
志望動機の質問は、意外とシンプルに以下の3つを見られています。
- 自分の意思をわかりやすく伝える力
- 入社意欲の高さ
- 社風やビジョンにマッチする人材かどうか
中途採用面接は、突き詰めると「一緒に働きたい人物か」を見極める場です。
人間同士のお付き合いと同じで、同じスキルを持っている場合、「自分(自社)への思いが強い人」の方が魅力的に見えるものです。
志望動機は、自分たちのことを本当に好きでいてくれるのかを確認しているのです。
また、志望動機を聞くことで、「何を大事にしているのか」を見極められるため、社風や会社のビジョンにマッチする人物なのかも見極めています。
志望動機を聞かれない企業も多い
転職面接では、志望動機を聞かれないことも多いです。
実際に、私が面接官として入ったことがある企業も、志望動機は基本的に聞かない企業でした。
理由としては、「未来のことはなんとでも言える」こと等が挙げられます。
志望動機を聞かない企業では、過去の仕事や何かしらの選択の際に、どのような考え方をしてきたのかや、物事に向き合う姿勢を深掘りします。
そこから、候補者の人物像を深掘りし、「そもそも自社とマッチするのか」を見極めます。
つまり、「言っていること」や「将来のビジョン」ではなく、「今までやってきたことと考えてきたこと」からジャッジするのです。
志望動機をうまく伝えるには?
志望動機を聞かれる企業では、違和感がある伝え方をしてしまうと大きなマイナス評価となってしまいます。正しい考え方と伝え方をみていきましょう。
志望動機の考え方の4つのポイント
伝える前に、まず志望動機を深掘りして考えて、作り込みましょう。
考え方で重要なポイントは、4つです。
- 自分の現状を客観的に把握する(スキル・経験)
- 現状に対して、自分が将来的にどうなっていきたいのかを深掘りする
- 現状となりたい姿のGAPを埋める方法を考える
- 3の方法と、企業のビジョンや事業内容との親和性を考える
この流れが非常に重要で、そもそも転職理由とつながっている必要があります。
転職は、本来は「なりたい姿」と「現状」に何かしらのGAPがあるからするはずです。
ということは、そのGAPを埋めるために、「なぜ今回受ける企業なのか」というのが志望理由です。
自分が今もっているスキルや強みと、企業がもっている強みを掛け合わせて、こんな社会を実現したい、こんなサービスや商品を実現したいというビジョンを語れるとベストです。
それに加えて、自分が身につけたいスキルが今回の仕事で身につくから志望したという伝え方です。
自分がこうなりたいという軸だけだったり、企業がこんな事業をしているかたやってみたいという企業軸だけだったりしてはいまいちです。
自分軸と企業軸双方の掛け合わせで、志望理由をつくっていくことが重要です。
志望動機を伝えるときの5つのポイント
志望動機を伝えるには、以下の5点を意識しましょう。
- 結論から話す
- 1分程度で伝える
- 会社及び個人として何を成し遂げたいのかを伝える
- この企業でなければダメな理由を極力伝える
- 今までの経験、スキルを活かすシナリオを伝える
どんな質問に対しても共通なのは、1分程度で簡潔に、なおかつ結論から話すということです。
志望動機においても、話している時間、長さが長すぎると、面接官のストレスになってしまいます。
「志望動機を教えてください」と言われているのに、「私は、いままで〜の職を経験し、〜」などと話してしまう方が多いです。
結論から話すことが重要ですので、「御社を志望したのは、〜だからです。」から始めましょう。
また、準備段階で深掘りした「なりたい姿」と会社のビジョンの親和性をとらえて、何を成し遂げたいのかを伝えましょう。
「なんとなく成長したい」ではなく、個人及び会社としてどんなことを成し遂げたいのかというビジョンが重要です。
加えて、なぜこの企業なのかを分析しておきましょう。
同じようなビジネスをやっている企業が他にある中で、なぜこの企業なのかを語れる準備をしておきましょう。
業界での立ち位置やビジョンと、自分のやりたいことの方向性の親和性で語ることがおすすめです。
中途採用ですので、自分がいままで培ってきたスキルや経験をどうやって活かせるのかもアピールする必要があります。
転職面接の志望動機の例文紹介
ここからは、転職面接時の志望動機について、好印象な例文とNGな例文を紹介します。志望動機で損をしないように、きちんと準備していきましょう。
好印象な例
まずは、未経験での転職を例に、好印象な例をご紹介します。
「御社のサービスを通じて、顧客の経営課題を解決して〇〇業界を革新するというお仕事内容とビジョンに惹かれて、志望させていただきました。私は、今までの販売職の経験をしていく中で、もっと顧客に踏み込んで提案をしていく仕事をしてみたいと考え、営業としてスキルアップしていきたいと考えています。そのためには、顧客の課題を正確にとらえて、より良いソリューションを提案していく力を伸ばす必要があると考えました。そこで、御社であれば、業界の他の企業様よりも顧客の深い課題に向き合われていて、私がスキルアップできると同時に、接客で培ったお客様に寄り添ったコミュニケーション力を活かせると考えまして、是非御社の一員として御社のビジョンに向けて働きたいため、志望させていただきました。未経験ではありますが、誰よりも行動して結果を出す覚悟です。」
次に、同職種ではあるものの、会社や業界を変える場合について、事務力での好印象な例をご紹介します。
「現在営業事務としてお仕事をしておりますが、もっと仕事の幅を広げたいと考えていて、そんな中御社の事務職の求人が仕事の幅が広いことを知り、チャレンジしたいと考えて、志望させていただきました。現在の営業事務は、データ入力や請求書作成等にとどまり、せっかく身につけてきたプレゼン資料作成スキルや、コミュニュケーション能力を活かしづらい状況です。御社であれば、営業さんの資料作成のお手伝いやお客様の電話対応、営業事務以外の事務職にもチャレンジできるとのことで、より成長できるのではと考えました。また、御社のようなIT×◯◯の領域のサービスとビジョンが素晴らしいと感じていて、社会に対してより貢献できるのではと感じ、私も御社のサービスを世に広める一員になりたいと思い、志望させていただきました。」
NGな例
ここからは、志望理由としてイマイチな例をご紹介します。
「御社は、研修制度等のサポートが充実しており、私のように能力が高くなくても、助けていただけるのではないかと思い、志望しました。」
「御社は、非常に優秀な社員さんが多い印象で、モチベーション高く働けると思い、志望しました。」
これらは、「自分が」どうしたいとか、どうなりたいとかいう思いが伝わらず、環境がなんとかしてくれるだろうという印象を与えてしまいます。
「今の会社で同僚と合わず、御社であれば私が合いそうな社員さんが多くいらっしゃると考えて、志望いたしました。」
「今の会社の◯◯業界は今後縮小傾向で、御社は非常に伸びていくと思いまして、志望いたしました。」
これらは、自分ではどうしようもない内容です。さらに、もしうちの会社で社員と合わなかったらどうするのか、業界が縮小してきたらどうするのかという懸念が生まれてしまいます。
「今の会社は給料が低く、正当な評価ではないと感じています。御社であれば、給料を上げられると考え、志望いたしました。」
「今の会社は非常に忙しく、休みが取れない状況です。御社であれば、きちんと土日に休めるとのことでしたので、志望いたしました。」
「御社は非常にネームバリューがあり、安定している企業だと思いまして、落ち着いて働きたいと思い、志望いたしました。」
「勤務地が家から近く、通いやすいため、志望いたしました。」
これらは、「こうなりたい」や「こんなことを成し遂げたい」などの思いが感じられず、条件や安定性のみを考えている印象を与えてしまいます。
例を挙げればきりがありませんが、「一緒に働きたい」と感じる志望動機ではないことは、わかっていただけると思います。
志望動機を確認するためのその他の質問例
志望動機をを確認するには、直接的な聞き方以外にも質問例がありますので確認しておきましょう。
- 弊社で成し遂げたいことはなんですか
- 弊社のどのような点にご興味を持っていただいたのですか
- 弊社のサービス(商品)を利用したことはありますか
- 将来はどんな役職に就きたいですか
- 他にどんな企業を受けていますか
このような質問が想定されます。
どのような聞かれ方をしても、矛盾がないようにしておきましょう。
他に受けている企業は、基本的に正直に話して構いません。
ただし、志望動機や転職理由で言っていることと、受けている企業群が矛盾していると印象は良くありません。
志望動機に沿った企業群のみを伝えるようにしましょう。
転職面接の志望動機と履歴書との関係性
ここまでは、面接時に口頭で志望動機を確認される場合を解説してきましたが、履歴書等の書面で提出を求められる場合について解説します。
履歴書への志望動機の書き方
履歴書などの書面に志望動機を書く際も、口頭で伝える場合と同様に結論から簡潔に書くことがポイントです。
言ってしまえば、面接での伝え方と何ら変わることはありません。
文章の構成としては
- なぜ志望するのか結論を述べる
- そう考えた理由、将来のビジョン
- 活かせる経験スキル
- 意気込み、熱意
のように書くとわかりやすいです。
履歴書と同じことを言っても良いのか
面接では、履歴書に記載した内容と同じ内容を話して構いません。ここで違うことを言ってしまうと矛盾が生じてしまうためです。
ただし、履歴書に記載した内容を暗記して話すのはやめましょう。
面接での言葉に落とし込んで、アレンジして話すようにしましょう。
志望動機の正しい伝え方を理解して面接に臨みましょう
志望動機の伝え方のポイントと例文を紹介してきました。
志望動機の伝え方は、面接において非常に重要で、是非一緒に働きたいと思わせられるかがポイントです。
自分の現状となりたい姿を適切にとらえて、いかにGAPを埋めていくかという視点で志望動機を考えましょう。自分のビジョンと、会社のビジョンがどう親和性があるのかを言語化しておくことが重要です。
わかりやすく結論から伝える練習をきちんとして、より良い印象を与えられるように準備しておきましょう。